交通事故を起こしてしまった時に何よりも一番最初にしなければならないのが負傷者の救護です。
自分が無事である事をまず確認する事。そして、対人事故の場合は必ず対人の負傷者の救護を優先しなければなりません。
すぐに対処する事が出来れば、負傷者の被害を最低限に抑える事も可能になります。
冷静に対応できる様、手順を踏んで行動していきましょう。
負傷者の元へ移動する&そのときの注意点
負傷者が目の前にいるからと言って、感情に任せて勢いで飛び出してはいけません。
負傷者に近づく前に、事故が起こってしまった状況を把握して
- そのまま負傷者に近づいていいのか(2次災害の可能性が無いか)
- 負傷者に近づける状況なのかを判断します
この2点に注意して動く必要があります。
2次災害に注意して近づく
2次災害を起こさない様にする為には、まず、勢いで事故を起こしてしまった道路に飛び出さない事です。
負傷者を見つけたからといって、いきなり外に飛び出したりして後ろから後続車が飛び出してきたりしたら大変です。
まず、次の点を確認しましょう。
- ハザードランプを点ける(自分の車で可能な状態であれば)
- 車のランプが点かない場合は発煙筒を炊き、後続車に事故発生について知らせる
- 同時に停止表示板があれば事故を起こした自車や相手の車の後ろに見えやすい様に置く。
このように事故が起きている事を後続車に確実に伝わる状況を作ってから負傷者に近づくようにします。
ここで対処せずむやみに近づいたりしてしまうと、負傷者が増えてしまい2次災害~3次災害と繋がる危険性があります。
負傷者に近づけない場合
事故を起こしてしまった車の位置だったりの問題で、負傷者に近づけない場合もあります。
そのような場合でも、行う事は近づく場合と同じです。
まずは「後続車に事故発生が伝わるように対処する」ことが一番最初にしなければならない事です。
負傷者に近づけなかったとしても2次災害を防ぐ事に大きな意味があります。
負傷者の状態を確認する&安全なところへ移動
後続車に事故発生を知らせる対処をした後には、負傷者の状態を確認する事が大事です。
これは近づけた場合でも近づけなかった場合でも同じです。
近づけた場合は、直接目の前で状況を見て「意識や傷の具合」、「動かして良いのか悪いのか」の判断をしなければなりません。
動かす場合は最低限、道路の路肩まで移動させる事で2次災害を防止できます。
負傷者の意識がない場合
負傷者の意識が無い場合は、自発呼吸が出来ているかどうかをまず確認する事です。
自発呼吸が出来ている場合はそれ以上、呼吸に不備が出ないように体勢を整えて気道を確保します。
又、逆に意識の無い状態で自発呼吸も出来ていない場合には気道を確保し、人工呼吸と心臓マッサージを行わなければなりません。
負傷者が動けない場合
負傷者が動けない場合は、無理に動かさない方がいいと思われるかもしれませんが、道路の中心にいるのであれば2次災害のリスクが高まってしまいます。
ですので、負傷者が動けない場合でも頭を引っ張って移動させるなどの危険な行動をしなければ、動かして2次災害を防止する事が推奨されています。
道路の中央にいるような状態であれば、まずは最低限、路肩までは移動させましょう。
負傷者が軽傷・無傷の場合
負傷者が軽傷・無傷であったとしても危険はあります。
通常、事故を起こした時や怪我をした時は人間はアドレナリンが大量に分泌されている為、痛みがあったとしても痛みを感じない傾向があります。
ですが、時間が過ぎた後から全身に強い痛みが出る事は珍しくありません。
たとえ外観に傷等が無くても、必ず病院を受診するべきです。放置してしまった結果、重大な後遺症が残ってしまう危険もあります。
移動する安全な場所とは?
事故が起こった場合には道路上にいる事が一番危険ですが、移動する先はどのような場所がよいのでしょうか?
意識してもらいたいのは、
- 交通量がが多くない場所
- 道幅が広い場所
に移動することです。
負傷者にとって緊急の事態でなければ、後続車の邪魔にならない場所に移動します。
道幅が広ければ路肩に寄せるだけでも2次災害は起きにくくなりますし、交通量が多い場所では細い道に移動することで安全性は高くなります。
必要に応じて119番へ電話し、指示を仰ぐ
119番に電話し、助けを求める事は負傷者を助ける生命線になります。
119番への電話が必要な場合は躊躇せず、正確に情報を伝える事が出来る様にします。
どのような電話がいいのか例をあげてみます。
電話応対の具体例
119番にかける。
プルルルル・・・・・
119番:火事ですか?救急ですか?
自分 :救急です。交通事故です。
119番:お使いの携帯電話は何番ですか?
自分 :090-xxxx-xxxxです。
119番:場所はどこですか?
自分 :○○市○○町の○○交差点付近です。
119番:どのような状態ですか?
自分 :車同士がぶつかり、怪我人が数人います。
119番:怪我人は何名ですか?
自分 :3人です。
119番:ケガの状態は?
自分 :一人は軽傷ですが2人は頭から血を流し、意識がありません。
119番:負傷者は道路上ですか?
自分 :路肩に移動させました。
119番:負傷者には呼吸がありますか?
自分 :呼吸はありますが、弱弱しいです。
119番:気道確保と人工呼吸の知識はありますか?
自分 :あります。
その後も
- 氏名
- 関係者かどうか
- 車の状態
など必要な情報を聞かれます。
このように簡潔に状況を説明すると、119番の担当者が必要な情報を聞いてくれます。
短くてよいので、聞かれたことに対して情報を伝えましょう。
救急車を要請した場合、現場への到着は平均で8分と言われています。質問に答え、応急処置を行っている間に救急隊が到着します。
緊急時の応急処置方法
緊急時の応急処置によって負傷者の命を救ったり、後遺症を出来るだけ防ぐ事が出きる可能性があります。
心肺停止や重篤な怪我があれば、救急車が到着するまでの処置が怪我人の命を救ったり、後遺障害を軽減させたりすることも可能です。
ですが、専門的な知識が全くないのであれば、救急隊員との電話対応で指示を受けて出来る範囲での応急処置を取ることが重要です。
応急処置をする際の注意点
負傷者がいる場合の注意点として、全て自分でやろうとは思わない事です。
もし、回りに頼る事が出来る人がいそうであれば数人かかりで対応します。
まず負傷者の状態を確認し、救急隊員に指示を仰ぎながら適切な処置をする事が重要です。
応急処置の具体的な手順
1.意識・呼吸状態の確認と処置
意識の状態を確認し、大きな声で確認をしながら負傷者が反応出来るかどうかを見ます。
無反応の場合はすぐに救急車を呼びます。(すでに呼んでいる場合は救急隊員の指示を仰ぎます)
次に呼吸の状態が正常かどうかを判断します。
もし万が一無呼吸の場合は、救急隊員の指示を仰ぎながら口の中に異物が入っていないか確認し、気道を確保した後に負傷者の鼻をつまみ人工呼吸の処置を施します。
2.脈拍状態の確認と心臓マッサージ
人工呼吸の後は、脈拍の状態確認を行います。
のど仏の横にある頸動脈を人差し指と中指の指2本で脈拍があるかを確認します。
少し強めに抑え、目安としては負傷者の場合、1分間に80~100くらいの脈拍がある事がイメージします。
その後、救急隊員の指示に従いながら心臓マッサージを行います。
胸の中央あたりに両手をクロスさせる様に重ね、心臓の鼓動をイメージしながら心臓に動きを与えます。
3.出血の確認と処置
出血の量にもよりますが、出血が多い場合はすぐに止血作業に入る必要があります。
止血作業には2種類の方法があります。
- 直接圧迫止血
出血箇所にハンカチやタオルを使用して圧迫して止血する方法です。心臓より高い位置に上げて行うと効果が高いです。 - 関節圧迫止血
傷口よりも心臓に近い部分の動脈を縛り、圧迫する事で止血する方法です。
出血多量になる事を防ぐ効果があります。
どちらの止血方法を行うにしろ、感染症防止の為にも直接血液に触らない様に意識して行います。
グローブやビニール袋があると理想ですが、交通事故の時にそこまで準備は無い可能性がありますので、荷物の中や自分の服、負傷者の服など利用できる物は全て利用して負傷者の救護にあたります。

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